【Backstage Stories】アドベンチャーワールドがTCHにやってきてくれた理由!

先日の活動レポートでもご紹介した、昨年10月に開催された「わくわくスマイルDAY!in TSURUMIこどもホスピス~アドベンチャーワールドの動物たちがやってくる!~」。今回のレポートでは何故アドベンチャーワールドが来てくれる事になったのか?その理由をご紹介させていただきます!

『あのね、“ゆいひん”のいるところってどこか知ってる?わたしの一番好きなどうぶつえんなの。』

これは、病状が悪化してとてもしんどい状態の6歳の女の子と話していた時に、唐突に出てきたセリフです(“ゆいひん”は、アドベンチャーワールドで2016年に生まれたパンダの赤ちゃん)。その女の子がまだ外出できる体調だった頃に、何度も遊びに行ったそうです。ダンスショーや動物のこと、アトラクションのこと…。身体的にはとてつもなくしんどいのに、それを忘れたかのように楽しそうに話してくれたのが、とても印象的でした。その子のお母さんからは「車イスから立てなかった娘が、ダンスショーで思わず立ち上がった姿を見て、涙が止まらなかった…」と聞きました。

他にも「退院したらアドベンチャーワールドに連れて行ってもらうねん」と治療の励みにしていた男の子がいました。また、去年2歳で亡くなった男の子も「パンダが好きでアドベンチャーワールドへ行こうと計画していたけど、行けなかったんです」と、亡くなった後にご両親からお聞きしました。

こういった話題が重なって、「あぁ、重い病気の子たちにとって、アドベンチャーワールドって、元気をもらえる場所なんだなぁ。でも、地理的になかなか行けないから、頑張っているTCHの子どもたちに、特別に何かしてもらえないかなぁ…」と、厚かましくも思ったのが事の始まりでした。

そこで…、厚かましくも、アドベンチャーワールドさんにお声をかけてみるチャレンジをしてみました。すると、なんと!「ぜひ、力にならせてください」とのお返事をいただいたのです!スタッフの方々がTCHまで足を運んでくださり、TCHの理念に共感いただいたことが、出張アドベンチャーワールドを実現することにつながったのでした。

そして迎えた当日(様子はこちらから)。

冒頭で紹介した女の子は、また病状が悪化して来れないかも…と諦めかけていましたが、当日なんとか参加することができました。お父さんに抱っこされながら動物に触れ、パンダグッズを買って、しっかり楽しんでくれました。大好きなダンスショーでは、前のように立って踊ることはできなかったけど…、手を一生懸命動かすことができました。そして、なんと偶然にも、白浜で一緒に踊ったダンサーのお姉さんと再会することができたんです!お姉さんも覚えてくれていて、二人でたくさんお話をしていました。「また、一緒に踊ろうね」と、お姉さんと指切りげんまんしていました。

2歳で亡くなった男の子のご両親も遊びに来てくれました。そして、当日参加したたくさんの子どもと家族が、本当に喜んでくれました。

このように、TCHでの華々しいイベントは、実は、小さな子どもの“想い”から始まっています。それを実現するために、本当にたくさんの方々に協力していただきました。TCHでは、大規模なイベントも、日々のささやかな活動も、考え方はいつも同じです。子ども一人ひとりの“想い”に寄り添い、“願い”を叶えていくことを目指しています。

…とはいえ、この規模のイベントを実現するまでには、それなりの苦労がありました。双方とも通常業務を抱えながらのやりとりをし、これまでやったことのないという手探り感…。当日も緊張して迎えましたが、たくさんの子どもと家族の笑顔を見ることができ、本当にいい一日になりました。やってよかった…。子どもたちのおかげです。

病状がひっ迫した状況では、子どもの願いを聞くことも、それを受け止めることも、どれも本当に難しいと思う日々です。ですが、どんなに大変な状況でも、子どもたちが望みを諦めなくていいように。みなさんのお力添えをいただきながら、これからも取り組んでいきます。

ホスピススタッフ 西出由実