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TSURUMIで話してみた。病気のこと、そして、自分のこと。:春のtalk&sweetsまつり

2019.05.11 / 活動レポート

TCHが大事にしていることの一つ、「チルドレンズファースト」。ここに近づけるよう、TCHでは様々なアプローチを行ないます。この春、この取り組みの一つとして、メンバー利用を終了する子どもたちとそのご家族を対象に、「春のtalk&sweetsまつり」を開催しました。

「talk&sweetsまつり」というタイトルですが、単なるお祭りではありません。

エントリー時は不安定な病状だったTCHを利用する子どもたちも、その症状が回復し地域の学校等に戻れるようになると、ホスピスケアとしての利用を終了することになります。この春、メンバーとしての利用を終了する子どもたちに対し、私たちスタッフが大事に思っていることを伝えるイベントとして「まつり」と銘打って開催しました。

普段、私たちは、「子どもの意思や発意を大事にする」ことを踏まえ、子ども自身が病気のことを知っている前提に接します。しかし、実際は「子ども達は自分の病気のことをどう思ってるのかな?」という迷いを持ちつつ、スタッフも関わることが多いのが実状です。「ホスピスでは楽しい時間を提供できているかもしれないけど、子どもたちの本音ってどうなの?」と…。「こんなに子どもたちと接していても、彼らの『声』って十分聴けてないな」と思ってきました。そこで、子どもたちや保護者の皆さんに「これからのことのお話を直接する。そういう機会を作ろう!」。それが「春のtalk&sweetsまつり」となりました。

まつりでは、まず「こどもトーク」の時間を持ちました。
トークのみならず、ちょっとしたアクティビティを織り交ぜ、開設後初めての「みんなでトークタイム!」を行ないました。
ここでのトークは、「ホスピスのこと」「病気のこと」「日常のこと(頑張っている、最近嬉しかったこと)」などなど、子どもたちに対して、色々な話をおりまぜながら質問をしました。
・Q:「ホスピスってどんな所か知っている?」
・Q:「障害がある子は、みんなのまわりにいる?」
・Q:「自分やきょうだいの病気の名前知ってる?」
・A:「知らない」「小児がん」「白血病」「神経芽腫」
・Q:「手術したことある人は?」
などなど。初めのうちは一人ひとり、とっても緊張しながら、順番に答えていた子ども達でした。それが、だんだんと競いあいになり、順番関係なしに、「言いたい!言いたい!言いたい!」が溢れ出てきたのです(これにはほんとびっくりしました!)

親と離れた環境で、子ども自身の気持ちを訊いてみると「きょうだいの病気のこと。聞きたいけど、聞けない…」と話してくれる子もいました。また、驚いたのは、意外とみんな採血が好きだ、ということです。理由は「終わった後かわいいシールをつけてもらえる」「血を抜いている時の感じが好き」など、何十回と採血をしている子達が答えてくれました。その後の展開は、なぜか自分が何回採血したことがあるかの競いあいに…。

検査や手術の事も教えてくれました。お腹にある傷を見せてくれる子、お薬で眠っていたけど起きたら足が動かしにくくて…と、教えてくれた子もいました。こういったことって、知っているスタッフ、知っている場所だから、話せたのかもしれません。けれど、子ども達は大人が思っている以上に、「なんて病気なの?どんな病気なの?」と聞くと話してくれるんだろうな…、とも思いました。

結局、「聞く(訊く)こと」を怖がっているのは、大人の方なのかもしれません(これが今回の最大の気づき!です)。

同時並行で、保護者が集まっての「おとなトーク」をつるみカフェで開催しました。こちらは、親御さんの苦悩がにじみ出ていました。病気になった年齢も様々で、保護者の皆さんの悩みは「子どもになんて説明しよう?」「病名は言っているが、小児がんって言っていない」など、ご家族それぞれ違います。わが子に「小児がんって言えない」という親御さんもいましたし、「全部言っています」という親御さんもいました。実際、どちらが良くて、どちらが悪いということではなく、病気になったこと自体、それもまたその子の人生であることを受け止めるのに、人それぞれなのだな…ということを分かち合った、そんな感じでしょうか。

スタッフからは、過去病院等で経験した話をしながら、晩期障害のことなど大人になってからの影響や、成長する過程での悩みなど、経験者だから伝えられるお話しや、病状が回復した今だから伝えておきたいことを中心に親御さんには話をさせていただきました。

ホスピスには、亡くなっていく子ども達もいれば、治療を終えて元気に地域で過ごしていく子ども達もいます。治ったから終わりではなく、そのあとも続く人生を一緒に考え悩む…。子どもの声を大事にするしながら、ゆっくりしっとり話す時もあれば、わいわいがやがや賑やかに「病気のことを話す」。日常生活の中では、なかなか話したり聞くことのできないことを敢えて場を設け、親とは違う人と話す機会を作ってみる。そのような寄り添いが、子どもホスピスの在り方の一つなのかもしれません。

後日、ある親御さんからは、「参加する前までは、(子どもが)自分の病気のことなどを話さないと思っていました。普段は全然話さないので…。けど、ホスピスという場所だから話したのかもしれませんね」という感想をいただきました。TSURUMIらしい、トークまつりの日になったな~と感じた一日でした。

ホスピススタッフ 古本 愛貴子