You Raise Me Up:子どもの願いと思いがもたらすもの(2017年度を振り返って)

こんにちは。ゼネラルマネージャーの水谷 綾です。

TCHの2年目が終了しました。2017年度も、多くの方々からTSURUMIこどもホスピス(TCH)の活動へのご支援やご協力いただきましたこと、感謝いたします。

TCHの2年目となる2017年度は、パーソナルなご利用を軸に、そこに様々なプログラムやイベントを組み合わせ、そして、宿泊活動もスタートしました。(上半期の様子もご参照ください)。

■子どもの笑顔から得る気づきのようなものと…
秋晴れに恵まれたこの日。あそび創造広場の原っぱエリアで開催した移動動物園には、メンバー家族だけも、鶴見緑地公園に遊びに来ていた一般のご家族も合わせると330人を超え。病院ではなかなかできない“地域との融和”ってこういう感じなんじゃないかなーと誰もが感じた、そして、地域とともに「何かできる自信」のようなものを得ることができた機会でした。他にも、秋のオープンデイ秋祭りといったイベントも開催。こういった地域に開かれた機会を通じて、子どもホスピスって、子どもにとっての希望のようなものがある場なんだ、と感じられる地域に開かれたものが少しずつ積みあがってきた1年だったように思います。

なかなか外で遊べない子たちが地域の子と同じように、そして、一緒に遊ぶ風景は、どの子にも二度とない時の輝きがありました。それがホスピスで実現できていることが、なんだか嬉しかったです。また、他団体が子ども向けのプログラムを提供する「広場」連携プログラムでは、とても素敵な19もの企画を実施していただきました。

こういったプログラムの中で、親御さんからよく言われたことの一つ。「病院では、あんなにしんどそうなのに、こんなに遊ぼうとする力があったなんて…」。子どもたちは、子ども同士が遊ぶ空間の中で、どんどん内部にある力を出してくれる。ともすると、大人の側があきらめかけていたことに気づかせてくれるのは、子どもの発意、それでした。

■パーソナルケアにこだわる意味
私たち、TCHのケアは「チルドレンファースト」の追求です。どんな状況の子どもであっても、同世代の子どもと同じ経験を生きるーこのことを実現ためにできるケアとは何か、です。そのため、子どもの成長に準じた「今」を生きられるような関わりができるパーソナルケアをより深めていきました。その風景の一端を冬の風景にて紹介しています。

また、多くのご遺族メンバーが、ホスピスに時折遊びに来てくれました(秋の風景にて)。きょうだいを連れて遊びに、ちょっとお菓子を持っておしゃべりに、一緒にランの練習をやってみたり…。亡くなられたお子さんの思い出を、スタッフとともに語る穏やかな時間。そこにはちょっぴりさみしい気持ちはあっても、暗さはありません。どちらかというと、明るいのです。その子のことを自然に慈しんでいる風景は、子どもホスピスがあってよかったと実感する、暖かい瞬間でもありました。

■ボランティアと分かち合いながら…
子どもホスピスの活動を支えてくれているボランティアの存在、これがとっても大きいです。オープンしてからの2年間、このホスピスが何を大事に、どういった方向に進もうとするかを傍らでじっくり見守り、支えてくださったボランティアの皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。パーソナルケアはスタッフ中心に行ってますが、イベントやハウスキープなど、多くの力が必要な部分はボランティアの力があってこそ、です。2017年度はボランティアフォロー研修を5回開催。とくにケアの現場感じている様々な状況や多様なニーズへの向き合い方を分かち合い、時にはぐっと泣きだす場面もありました。こうやってお互いの気持ちをシェアしながら一緒に作っていけることって素敵だなって思います。今後は、メンバー家族によるボランティア活動も始まるかもしれません。TCHの活動がますます進化(深化)していくといいな、と願っています。

■「ともにつくる」って:チャリティ活動で取り組んでいくTCH
2017年度、TCHにとっては、ファンドレイジング活動元年になりました。
様々なチャリティプロデューサーによる支援活動や、「OBCラジオまつり」 でのチャリティ活動など、多くの思いを寄せていただいたこと、ありがとうございました!

第7回大阪マラソンの寄付先団体になり、チャリティランナーを通じたチャリティ活動から得たものは、単に寄付という資金だけではなく、支援の輪を広げることの楽しみの実感、でした。大阪マラソンのチャリティランナーの皆さんは、どの方も自分が走ることで、子どもたちやご家族の笑顔につながるという喜びで満ち満ちていました。「チャリティランナーになって本当によかった」という声が多数。しんどい練習を乗り越えて本番に臨んでくださいました。大阪マラソン本番に向け、ボランティアやメンバー、そして、様々な場面でご支援いただいた方も、準備に、当日には沿道から一緒にランナー応援団が大阪市内で頑張りました。そして、チャリティランナーの勇姿に感動しました。

■「君」が私を勇気づけてくれる、ということ
TCHが取り組む各活動を見るたびに、いつも不思議な巡り合わせがあるように感じる瞬間があります。私たちは、メンバー家族に寄り添う活動を皆で作っていきたいと強く思っているのですが、時々「You Raise Me Up」という楽曲の「心が折れそうになるとき 君が来るのを待つ (中略) 君が私を励ましてくれる それは私が想像する以上にね」というフレーズを思い出します。結局、私たちは、子どもの願いと彼らの時間を一緒に分かち合うことで、実は子どもたちに背中を押され、新たな勇気をもらっている。そして、それは多くのボランティアや支援者とともに取り組むことで、同じ山を登ることができている、そういった情景に出会う日々…。こんなことをじんわり感じた2017年度でした。本当にありがとうございました。

2018年度も、多くの方とともに山を登れるように、TCHらしい活動を創っていけるよう、頑張ってまいります。引き続き、ご支援のほど、よろしくお願いいたします!

2018年4月18日
ゼネラルマネージャー 水谷 綾

※大阪マラソン直前、マラソン応援なんて初めて!というスタッフが応援体制を作るために、必死にやっていました。