【Backstage Report】TCH2020春の風景~緊急事態宣言の間、TSURUMIこどもホスピス、どうしてた?

こんにちは。ゼネラルマネージャーの水谷です。
他県をまたぐ移動の自粛が解除され、地域全体の動きがいよいよ加速してきた―そんな週末でした。この6月に入ってからは「ホスピスはどう活動されてますか?」「皆さん、お元気ですか?」などなど、活動のこと、運営に関する問い合わせ、そして、スタッフのことを心配してくださるお声をいただきました。本当にありがとうございます!

地域社会の動揺と同様、いろ~んなことが駆け巡った、子どもホスピスの2020年春。今日は、そんなTCHの春の様子の一部を、インタビュー形式でお届けしようかな…と。よろしければ、GMモノローグにしばしお付き合いくださいませ。

Q:この期間、どんなホスピスケアの活動だったのでしょうか?
子どもホスピスの活動は、ライフラインといった生活インフラを守るエッセンシャルワークとはちょっと違いますが、時間が限られていたり、制約が多い子どもたちにとっては“必要火急”である取り組みです。しかし、何をどの程度迄できるのか、その必要性の目安や基準が立てづらい面があります。今回の事態では、周辺の動きや反応はある中で、メンバーの気持ちはどうなのか、子どもの置かれた状況はどうあって何が阻害されているかといったこと(メンバーニーズ)を個別にキャッチしながら進めていくことを拠り所にするしかありませんでした。4月以降はこれまで以上に、ご家族と連絡を密に取り合い相談しながらその時々の受け入れを進めました。

実際のところ、メンバーの皆さんの反応は、千差万別です。「気持ちは行きたいけど、今は少し自粛したい」という静かなトーンから、「コロナは関係ない。行ける時に行きたい!」という熱い声まで…。子どもたちは行きたい!遊びたい!気持ちでいっぱいでした。そういった一つひとつの声を確かめながら、1日1組限定でのデイユースで一緒に遊んだり、その子のやりたいお泊りの準備やら、動画の素材作成の作業をしたり…。子どもたちが来ない日は、ハウスや原っぱの環境を整えて、より丁寧なお掃除とお洗濯をして…、そんな毎日でした。

Q:今回、オンラインの活動も始まりましたが…。
はい。朝礼もオンライン、会議もオンライン、アクティビティもオンライン…。リモートでできる部分はリモートで…と、その点は、他業態の皆さんとあまり変わりません。ただ不慣れな分野でもあって最初は何から手を付けたらいいかとオタオタしてたかな…。そんなスタッフの支えは、デジタル時代に生きるメンバーの子どもたち、です(笑)。実際、彼らと直につながることができるオンラインの活動は「子どもの気持ち、再発見!」という時間にもなりました。しばらく来館できなかったメンバーが先日ようやく来館してくれたのですが、会えなかった期間、オンラインで遊びややりとりを続けていたので、違和感なくホスピスでの時間を満喫したようで、それが嬉しかったです。
 

Q:医療機関との連携はどうでしたか?
最後に病院に出向くことができたのは3月上旬まで。この時期から、外部団体が病棟に出入りすることは完全に禁止となり、入院中の子どもに会うことや医療関係者と直接対話することが叶わない状況に。いやー、困りました。とはいえ、子どもたちの様子を知ることや、利用を望む潜在的な子ども達がいる以上、受け身で待っているというわけにはいきません。連携関係にある病院では関係者カンファにオンラインで参加させてもらったり、メールで主治医とやりとりしたり、対話の回路を一つひとつ広げていきました。限られた情報から状況を把握していく中で、ホスピスは何をするのかできるのか、どのタイミングが適切かなど、この時期に担当看護師さんやMSWの皆さんと情報交換できたことはありがたいことでした。

Q:スタッフのみんなはどのように?
TCHでもキャストボランティアの活動は一旦中止にしました。また、安全面をより強化する意味で、スタッフ内感染の発生に備えて少ないスタッフを2チーム編成に分けた運営に切り替えました。そういった運営の中で欠かせなかったのは、毎朝のオンライン朝礼です。部分とは言えリモートワークだと対面で得ることができていた情報が得にくくなります。ここでしっかり情報伝達や状況共有をしながら、リモートでも判断をしなくていけない状況に対応できるよう、毎朝のオンライン朝礼、毎週のオンラインケア会議は欠かせなかったです。それに、今回の事態で、冬に立てた事業計画の見直しや協議を並行して進めたので、話し合いの「密」度はMAXでした!
 

こんな感じで、とにかくやれるところから試行錯誤しつつ、様々な取り組みを始めました。1カ月半以上のチーム分離は時々さみしかったり心細い時もありました。季節のいいこの時期に子どもたちの受け入れを制限しないといけない事態や、ファンドレイジングのイベントが軒並み中止になっていく流れは、やはり気が滅入ってしまう面もありましたので…。しかし、日々の小さな楽しみを見つけながら、それぞれが次なる時に備えいろんなことを進めていったように思います。

スタッフのDX(デジタルトランスフォーメーション)系スキルの向上?それはですねぇ、まだ発展途上の段階ですが、今後もさらに頑張ります!
 

Q:様々な気づきと発見があった―そんな期間だったと言えるでしょうか。
そうだと思います。LTCの子どもたちとの今後のつながり方もそうですし、オンラインの広がりの可能性も、ですね。今回、奇しくもコロナ禍による活動の制約やソーシャルディスタンスという社会的要請から端を発したことですが、これまで「これってこういうものなんだ」という既成概念のようなものに囚われていた面が私たちの中にもあったのかもしれない…、と思います。これまで協力いただいたボランティアの皆さんとのオンライン交流(写真右)や、サポーターズカフェのオンライン版(写真左)で遠方や直前エントリーの参加者と様々なお話ができたことは、また今後の何かしらの可能性を見出す時間でもあったように思います。
 

TCHでも。7月からはボランティアの活動が、8月からは地域・広場の活動が徐々に再開する予定です。ニューノーマルならぬ、ニューホスピスケアはどうなっていくのか、子どもたちの可能性を拓く取り組みを今後どう支えていくのか、また皆さんとともに考えていけたらな…と。今後ともどうぞよろしくお願いします。

 
 
ゼネラルマネージャー 水谷 綾

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