現場スタッフ交換プログラムから~大阪TSURUMIこどもホスピス×横浜うみとそらのおうち

こんにちは。ホスピスネットワーク担当の水谷です。

皆さんご存じのように、日本には常設の施設を伴うコミュニティ型の「こどもホスピス」が2つあります。ひとつは私たちの「TSURUMIこどもホスピス」、そしてもうひとつが「横浜こどもホスピス~うみとそらのおうち」です。

 こうした数少ない拠点のそれぞれの現場では、日々忙しく活動が続いており、現場では日常的にさまざまな研鑽の機会を設けてきましたが、そこに新たな要素として加えたのが、「他者から学びを得る」という視点です。そこで今年度、新たに実施したのが「現場スタッフ交流による学びの場づくり」です。やはり、同じ思いと志をもった仲間たちとの分かちあいは、とっても大きな励みになります。そこで、本日はその取り組みの内容をレポート形式でお届けします。

【スタッフ交換プログラムの振り返り:プログラム担当レポート(ケアスタッフ辻ゆきえ)】

「つるみ」と「うみそら」、子どもと家族によりよい時間を届けるという目的は同じでも、実際の施設や活動はさまざまです。そこで、2025年度、交換プログラム「スタッフ交換留学&見学」を実施しました。
まず春には、新しく加わった両施設のスタッフが、おたがいのホスピスを見学し、情報交換するところから開始しました。相手の良さに触れながら、また自分たちの強みに気づく機会にもなりました。参加スタッフからは、

・「つるみは施設が大きいので、複数の家族が利用でき、自然とピアサポートにつながることができる」

・「ティーン・AYA世代への取組は、うみそらではまだやっていないため、見学できて良かったです」

・「うみそらの一軒家のようなおうちの造りを長所と考え、決められた広さの中で工夫、活用していきたいと思いました」

などの声が聞かれました。

秋には、スタッフ同士が互いの活動に参加しながら学ぶ「交換留学」を実施しました。事前にそれぞれが学びたいテーマを出し合い、「全部見たい、全部聞きたい」という気持ちがあふれつつ、教育機関との連携、遺族とのつながり方、地域との協働、オンラインプログラムの運営など、それぞれが特に深めたいテーマを持って当日に臨みました。当日はケアやイベントへの参加に加えて、スタッフ同士の濃く熱い会話が交わされ、日ごろのケアの悩みと重ねながら考える時間になったようです。

・ 「地域全体でLTCの子どもや家族への理解が深まることで、病気の子どもたちが地域の中で自然に過ごす機会や、地域全体で支える基盤づくりにつながる。そのためには、教育現場との関わり方の模索、回覧板の復活、つるしばのあり方の見直し等が必要」

・「うみそらとつるみでは時間の流れが違った。一日一組一棟貸しのうみそらは一家族と過ごす時間が長い分、気持ちが緩まる時間が多い。そのため、利用を重ねると親近感がより強まり、子どもの声を受け止める環境として、適しているように感じた」

・「つるみで、デイユースやイベントなど時間の限られた利用で、どこまで気持ちの核心にアプローチするような関わりができるのか、そして、その中でもなにも話さなくても大丈夫な空気感を作り出すかが必要になってくるように感じた」

日本ではまだ数少ないこどもホスピスの活動は、「これでいいのだろうか」「もっとよい方法はないか」と迷ったり悩んだりすることの連続です。これまでも オンラインでの情報交換などを行ってきましたが、やはり“会う・話す・語り合う”時間の大きさ、直接会って悩みを共有することが励みにつながるのだということを実感しました。

 子どもと家族のよりよい時間をーーという同じ目標を持つ仲間として、大阪の「つるみ」と横浜の「うみそら」、そしてこれから全国に生まれるこどもホスピスとともに、 子どもと家族の「よりよい時間」をつくっていく。お互いの悩みを語り、よいところを分け合いながら、これからも変化し続けていきたい。そんな思いが深まった交換プログラム(見学&留学)の取り組みになりました。

【参加してみて感じたこと:新人FRスタッフ安在より】

 まだ残暑真っ只中の9月、 横浜こどもホスピスプロジェクト「うみとそらのおうち」との交換留学に参加しました。全国のこどもホスピスが互いに学び合いそれぞれの現場に還元していくことを目的としたもので、 今回は新人ファンドレイジングスタッフとして地域・企業との関係づくりを中心に、現場での実践を学ばせていただくことになりました。

✨地域に開かれたホスピスとして✨

1日目は、地域の皆さんが誰でも立ち寄り参加できる地域イベント「秋のうみそら祭り」にスタッフとして参加。ホスピスが“特別な場所”ではなく、地域の日常の一部として存在していることを強く実感しました。200名近くの来場者でにぎわっていました。

会場では、出店企業や協力団体の方々にもお話を伺う機会があって、そこで見えてきたのは、企業が「支援する側」「される側」という関係を超え、こどもホスピスを一緒につくる“仲間”として関わっている姿でした。豪華なブースではありませんが、手作り感のある出店や温かな声かけが、イベント全体の雰囲気をつくり、その空気感こそが、長く続く支援の土台になっていると感じました。

✨事務局との対話から見えた運営の工夫✨

2日目は、事務局スタッフの皆さんとじっくり意見交換を行いました寄付集めの実際の動き、企業ボランティアとの関わり方、支援者との関係づくり、ボランティア受け入れのルール設計など、内容は多岐にわたっていて…。TSURUMIの常勤スタッフでは、元利用者は私一人なのですが、うみとそらのおうちは、代表の田川さんをはじめ、複数名のスタッフが活動されています。その体制の違いに触れてみて、当事者の経験が組織の中でどのように共有され、支援の姿勢として根づいていくのかについて、改めて考える機会となりました。

✨交換プログラムを終えて✨

どちらの施設にも、それぞれの地域や歩んできた背景に根ざした運営の形、支援者との関わり方があります。それぞれに強みがあり、また、課題もあることを、今回の交流を通じてあらためて共有することができました。TSURUMIこどもホスピスがこれまで大切にしてきた歩みを軸にしながら、今回得た新たな視点や気づきを、今後の活動に少しずつ重ねていきたいと感じています。温かく迎えていただいた、横浜うみそらの皆さん、本当にありがとうございました!

★左写真:誰が留学中のスタッフ?わからないくらいどっぷりと、ご家族の時間に参加させていただきました。右写真:うみそらスタッフの皆さんとともに

地域の中に、あたりまえに存在するこどもホスピスを目指して。これからも、一歩一歩、丁寧に取り組んでまいります。

この記事を書いた人

水谷 綾(みずたに・あや)

水谷 綾

ホスピスネットワーク担当