TSURUMIこどもホスピス10周年

皆さま、こんにちは。代表理事の高場です。

TSURUMIこどもホスピスは、この春で10周年を迎えることができました。これまでに多くの方の想いと行動によって育てられてきたように感じています。子どもたち、ご家族、地域の皆さま、そして支援者の方々、その一つひとつの存在が重なり、今日のこどもホスピスがあると改めて実感しています。

10年という時間を振り返ると、決して平坦な道ではありませんでしたが、同時に、かけがえのない出会いと学びに満ちた日々でもありました。これまで支えてくださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。

私たちは日本で初めてのコミュニティ型こどもホスピスとして歩み始めました。当時、「こどもホスピス」という言葉がほとんど知られておらず、その必要性を伝えることからのスタートになりました。病気とともに生きる子どもたちにとって、医療だけでは満たせない「日常」や「楽しみ」が必要であり、その時間をどのように支えるのか、国内に前例のない中、私たちは一歩ずつ進んでいきました。

もちろん、すべてが順調だったわけではありません。運営のあり方、関わり方、支援のかたち、その一つひとつに迷い、立ち止まり、考え続けてきた10年のように思います。

そうした中、多くの子どもたちとの出会いがありました。どの子も思い出深いのですが、開業2年目、暗中模索の時期に出会ったひとりの女の子は、その後の私たちのあり方に大きな影響を与えてくれました。

彼女は3歳から難治性の脳腫瘍と戦ってきた5歳になったばかりの、とても利発でチャーミングな女の子でした。(享年7歳)

彼女の言葉を紹介します。

「4歳も5歳も厳しかったから、6歳もきっと厳しいと思うんだ。だから6歳になるのが怖いんだ」

「どうして悪い子は、私のところに来たの?こなかったらどこにでもいけるのに」

「何をしてもお家に帰れないなら何も受けたくない。頑張ってるのに、頑張れって言われたくない」

「治療は続けたいけど、身体全部が限界でしんどいよ」

「手術が凄く怖いんだ。どうしたら怖くなくなるか、一緒に考えて」

彼女の言葉の前に立つと、いつも胸が締め付けられるのですが、こうした言葉の1つ1つが、私たちの考えを深め、躊躇しがちになる行動を前に進める大きな勇気になってくれました。

私たちにできることは限られていますが、これからも、たくさんの子どもたちとの経験を活かしながら、より良いこどもホスピスの未来を描いて行きたいと思います。

開設から10年、子どもホスピスはまだ日本の中で十分に広がっているとは言えない状況にあります。だからこそ、私たちの経験を伝え、つながりを広げていくことがとても重要だと考えています。今後、全国にある子どもホスピス団体との交流を深め、1つでも多くの子どもホスピスを日本の社会に生み出していきたいと考えています。

最後に世界で初めて子どもホスピスを立ち上げられた、シスター・フランシスの言葉を紹介します。

「たとえ家族が大きな苦しみの中にいたとしても、私たちはその苦しみの原因を取り除くことはできないし、抱える疑問に対して納得のできる答えを持ち合わせてもいません。それでも、彼らのそばに寄り添っていてあげることはできるはずです。単にプロの介護者としてだけではなく、見栄を張る必要のない信頼できる友人として、そばにいてあげることが大切なのです。」

TSURUMIこどもホスピスは、まだ道の途中にあります。これからも悩み、考えながら歩み続けていくでしょう。それでも、子どもたちが安心して過ごせる場所であり続けたい。何気ない時間を大切にできる場所でありたい。その想いを胸に、次の10年へと進んでまいります。

今後とも、あたたかいご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

ご支援のお願い

皆さまの応援があるからこそ、私たちは「その子らしい時間」と向き合うことができています。これからの歩みも、ともに支えていただけましたら幸いです。

▼ご寄付

見学会

▼10周年記念事業チャリティコンサート

この記事を書いた人

高場 秀樹(たかば・ひでき)

高場 秀樹

代表理事