皆さま、こんにちは!ホスピスネットワーク担当の水谷です。新緑が目に鮮やかで、心地よい風が吹き抜ける季節となりました。
TSURUMIこどもホスピスでは、この春から新たな仲間を迎え、地域を越えた挑戦をスタートしています。それは、愛知県でこどもホスピスの設立を目指して活動されている愛知こどもホスピスプロジェクトとの、本格的な連携プロジェクトです。
◆境界線を越えて届けるケア。子どもたちに、今、私たちができることを。
TSURUMIこどもホスピスには、日々多くの家族が訪れますが、中には、愛知を含む東海地域から足を運んでくださる方、あるいは現地の病院に入院中のお子さんも少なくありません。私たちの活動は、行政区域に縛られることなく、ケアを必要とする子どもを受け入れることを大切にしています。しかし、移動の負担やケアの継続性を考えると、今の場所と体制だけでご家族に十分なサポートを届けられているとは言い切れません。これまでも物理的な距離の壁に限界を感じることが多々ありました 。
「東海地域にもこどもホスピスがあったらいいのにな…」
そんな想いを抱いていた中で、2023年から始まった愛知こどもホスピスプロジェクトの動きは、私たちにとっても大きな希望に…。以来、創業を目指す方々と様々なやりとりを重ねてきましたが、「ホスピスを創る」という挑戦は、言葉や資料だけでは伝えきれない、目に見えにくい深さと重みがあります。情報提供の限界を超え、より確かなものを愛知に根付かせるために必要なのは、やっぱり“実践”しかない!そこで、現場でのケアを共に体験し、一緒に事業に取り組む中で、愛知独自のホスピスのカタチを見出してほしい。そんな願いを込めて、この春、具体的な連携プロジェクトが動き出しました。
◆伝えるから、ともに過ごすへ。現場が生み出す、新しい視点。
この4月から、愛知プロジェクトの代表を務める畑中さんが、月に数回、実際に大阪TSURUMIの現場に入っています。子どもたちとの遊びの時間はもちろん、家族支援の現場への同席、スタッフミーティングへの参加。さらに、オンラインでの定例会議や、遠隔での資料づくりなど、愛知と大阪を繋ぎながら活動を共にしています。日々、リアルな現場の空気に触れる中で、こどもホスピスの“ケアのカタチ”を感じ取っていただいています。
看護師としての経験を持つ畑中さんが加わることは、つるみのスタッフにとっても刺激になっています。「このケアの背景にあるものは何か」「この利用の流れはなぜこうなのか」。 畑中さんの素朴な視点や投げかけによって、私たちがごく当たり前に進める日常のケアをあらたな目で見つめ直すことにつながっています。地域は違っても「子どもたちの笑顔を守りたい」という願いは一つ。その想いが響き合うことで、温かな相乗効果のようなものを感じます。
◆愛知の畑中さんからメッセージをいただきました。
「私は、TSURUMIこどもホスピスに初めて訪れた10年前から『いつかここで働いてみたいなあ』と憧れていました。当時の私にとってTSURUMIは、病気のある子どもと家族が、地域の中で自然に笑い、過ごしている姿を見せてくれた、希望の場所でした。その場所に今、インターンとして関わらせていただいていることに、感謝と感動、そして不思議なご縁を感じています。
現場に入らせていただく中で、こどもホスピスをつくるということは、建物をつくることではなく、地域の中に“文化”を育てていくことなのだと実感しています。子どもたちやご家族との関わりはもちろん、スタッフの皆さんの何気ない対話や動き、地域とのつながり、そして組織を支える仕組みの一つひとつに、長い時間をかけて積み重ねてこられた想いと実践を感じています。TSURUMIでの学びを大切にしながら、愛知の地域性や文化、人とのつながりの中で、愛知らしいこどもホスピスの形を、地域の皆さんと一緒に育てていきたいと思っています。」
◆未来の「あたりまえ」を創るために。
現在、日本各地でこどもホスピス設立の機運が高まっています。しかし、民間主導で運営される施設がゆえに、その道のりには多くの課題が伴います。だからこそ、私たちは横のつながりを強め、成功も失敗も包み隠さず分かち合うことが、全国の病気とともに生きる子どもたちとそのご家族の幸せに直結すると信じています。
今回の連携は、単なる“研修”ではありません。お互いの専門性や地域の特性を尊重し合いながら、日本のこどもホスピスの未来のスタンダードをともに創り上げていくパートナーシップの第一歩です。
この取り組みは、2026年度を通じて継続していきます。畑中さんや愛知のスタッフの皆さんが持ち帰る経験が、現地での施設設立への確かな足がかりとなるよう、私たちも全力でサポートしていきます。
地域を越えたネットワークが広がることで、どんな境遇にある子どもたちもその家族も、孤独を感じることなく過ごせる社会へ。これからの展開を、ぜひ温かく見守っていただければ幸いです。
ホスピスネットワーク担当:水谷 綾
※本事業は、日本財団の助成をいただいて実施しています。ご支援いただき、ありがとうございます。