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「やりたい」が「できた!」に

夏にお庭でプール遊びできた!

友だちと遊ぶ。勉強する。家族で過ごすーー。子どもやその家族が「病気だから」と諦めてきた日常の経験。TSURUMIこどもホスピスは、そんな「やりたい」ことに安心して取り組むための環境づくりをお手伝いしています。

「やりたい」が「できた!」に変わったエピソードを紹介していく本コーナー。今回は、まいりちゃんとそのお母さん・お父さんに登場いただきました。病院のベッドで過ごす時間の多かったまいりちゃん。こどもホスピスに来てのびのび過ごし、水遊びができるようになった、その変化についてお話ししました。

残暑も厳しい8月下旬、4組のご家族が施設の予約をしてくれました。この日は、待ちに待った水遊び日和。中庭には、こどもホスピス・夏の風物詩とも言える大きなビニールプールが。

青々とした芝生の上では、午前中から子どもも大人も大はしゃぎ。水鉄砲やいろんな遊具を持ち出して、戯れ合う賑やかな声が響くなか、両親とビニールプールに入るまいりちゃんの姿も。お友だちの家族も一緒に、水遊びを楽しんでいました。

念願のプール遊びもひと段落した昼下がり、室内で休憩するまいりちゃん家族。スタッフの饗庭(あいば)とともに、お話を聞きました。

——まいりちゃんたちがはじめて来てくれたのは、病気など、いろんな理由で幼稚園に行けない子どもたちが集まって、思い思いに活動する「幼児フレンズ(2〜6歳児プログラム)」の日でしたね。

お母さん:そうそう。まいりは、生まれて2週間ほどで病気になって、入退院を繰り返しながら1歳1カ月くらいまでほぼ病院生活。家と病院以外に外出したことがないから、どこに連れて行ったらいいのか、どこまでがいいのか、そもそも家のなかでどう生活したらいいのか、本当にわからなかった。病院の先生に相談して、こどもホスピスを紹介してもらい、見学に来たのが1歳2カ月の頃。去年の12月かな。

——来てみて、どうでした?

お母さん:もう感激! まず、とってもきれいなので床でハイハイしまくってて(笑)。

——1歳2カ月だからまだ小さいし、パパとママの側で1畳分くらいのマットがあったら大丈夫かなと思っていたら(笑)。

お父さん:ずっと病院のベッドにいたから、最初はつかまり立ちもできなかったんです。でも退院してここに来て、上半身をズリながらもハイハイして、半年くらいで立てるようになった。

お母さん:こどもホスピスに来て何が嬉しかったって、まいりより2〜3歳上のお姉ちゃんが、同じ目線でハイハイしながら追いかけてくれたこと。「子どもってすごい!」と素直に思いました。まいりにとっても、遊んでもらえて嬉しかっただろうなぁ。

——子ども同士で受ける刺激には、大人がどう頑張ってもかなわない。そのあたりの影響が大きかったんじゃないかな。

お父さん:ここまでやんちゃになるとは思ってなかったけど(笑)。

お母さん:あらためて、ありがたい環境だなって思います。

お父さん:うん。ここに来たときだけ、病気のことを忘れられる。

お母さん:身近な友人やおばあちゃんも、元気な子しか育てたことがないんですよ。もちろんそれでいいんだけれど、なかなか自分たちの悩みを共有しづらい。普通に子どもを育てるだけでも大変なのに、病気で体調が悪かったり、お薬の副作用が出たり、ご飯を食べる日と食べない日があったり……そういうことをここなら看護師さんや保育士さんに話せる。

——自分のなかに抱えていた気持ちを外に出せる場所でもある。そして、念願のプールにも入れましたね。

お母さん:本当にそう。ここに来てすぐの頃、夏は中庭でプールに入れることを知って、ずっと「水遊びをさせてあげたい!」って思っていたんです。だからめっちゃ嬉しい! 病気は、一生付き合っていくものだから、不安が消えるわけではないけれど、たとえ少しの時間でも子どもと一緒に「幸せやな」と思える時間がつくれたらいいなって。


収録:2021年8月22日(日)TSURUMIこどもホスピスにて

取材・執筆:MUESUM

撮影:衣笠名津美